はせがわクリニック院長 長谷川俊之です。
普段から、胸やけや喉の詰まり感
長引く空咳や胸の痛みなどの症状に
悩まされている方もいらっしゃると思います。
今回は、このような症状をもたらす逆流性食道炎について
実際の写真を見ながらご説明致します。
まずは正常な方の、胃と食道の粘膜の境目を見ていきます。
写真で、縦の赤い筋(血管)が透けて見られる部分が食道粘膜で
その奥に、血管が見られない肌色の部分が胃粘膜です。
この食道と胃の境目に注目して観察を行います。
次に逆流性食道炎がある方の写真です
食道粘膜が白く濁り、透けて見えるはずの血管が見えなくなる代わりに
胃粘膜から食道粘膜に向けて赤い傷(びらん)が見られます。
胃の中にある胃酸が食道に逆流して
食道粘膜を傷付けているために起こります。
次いで、やや重度な逆流性食道炎の写真です。
先ほどより更に上の食道にまで傷(びらん)が上っていき
一部では、深い傷(潰瘍)まで出来ています。
常に食道が胃酸に侵されている状態です。
かなり重症な方は、治療後も多発の痕が残ります。
深い傷(潰瘍)が治る過程で、周囲の組織を引き込んでおり
実際に食道自体が狭くなるため、固い食べ物が詰まることもあります。
このようになる前に、治療開始が望ましいです。
逆流性食道炎の多くは、食道裂孔ヘルニアが原因です。
この写真は、食道裂孔ヘルニアの方の胃カメラです。
胃の中でカメラを反転して胃と食道との境目を見ています。
(黒い物体がカメラのシャフト部です)
正常な方は、胃粘膜がカメラを隙間なく挟んでいますが
食道裂孔ヘルニアの方は、大きく隙間が空いており
その隙間から奥を見ると、食道粘膜が見られます。
食道裂孔ヘルニアの方は、胃と食道の境目が緩くなっており
胃酸が常に食道へ逆流しやすくなっている状態です。
逆流性食道炎の治療は、「タケキャブ」などの胃酸を抑える薬により
良好にコントロールすることが出来る様になりました。
胸やけや喉のつまり感、持続する咳や胸の痛み
口の中のすっぱさ等の症状は逆流性食道炎の可能性があります。
一度、胃カメラも検討されてもいいかもしれません。