いちょうブログBLOG

虚血性腸炎

はせがわクリニック院長 長谷川俊之です。
今回は、血便の原因としてよく見られる虚血性腸炎について説明致します。
 
大腸は、粘膜の新陳代謝も早く、通常でも多くの血流を必要としています。
そこに、便秘などによって粘膜近くの血管が強く圧迫されると
血流が遮断されて、大腸粘膜に血液が足りない状態(虚血)になって発病します。
 
大腸粘膜は虚血によって崩壊し、写真のような線状の傷(びらん)や潰瘍を形成して出血します。
少し時間が経って治ってくると、写真のように引き連れた痕になります。
場合によっては、やや広い範囲で虚血による変化を認めます。
 
虚血性腸炎のほとんどの方が、血流の弱い左側(下行結腸~S状結腸)に発症します。
典型的な経過としては、
普段は便秘気味の方が、排便後に突然の左側腹部痛を自覚し
その後に下痢と血便をきたした場合は、この虚血性腸炎を疑います。
 
診断は、血便の経過や腹部症状から虚血性腸炎を疑い
CTにて多くの場合はある程度の診断がつきます。
CTでは写真の様に、腸管の粘膜が浮腫んでみられる所見があります。
 
この虚血性腸炎は、軽症の方は数日で出血も落ち着き、腹痛も改善します。
軽症の方は、整腸剤のみで経過を見ることも出来ますが
中等症以上では抗生剤治療や、場合によっては入院絶食治療が必要な場合もあります。
 
血便があった場合は、大腸内視鏡検査にてしっかりと原因を突き止める必要があります。
便に血液が付着していたり、腹部症状がある際は、是非ともご相談ください。
https://www.clinic-hasegawa.jp/daichocamera.html
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